一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係
私がテーブルにつくと、すぐにパン、サラダ、スープ、スクランブルエッグ、フルーツ等まるでホテルで出されるような食事が並べられた。
突然に話し出した藤堂副社長は、当たり前のように皆に私を紹介する。
「こちらの彼女は桜井奈々さん。うちの会社の社員だ。いろいろ事情があってしばらくこの家に住まわせて欲しい。」
すると、意味がわからずお父様が声を出した。
「翔也、それは結婚を考えているという事なのかな…それなら許すが、責任を取れないなら、そんな曖昧な関係は許されないぞ。」
すると、藤堂副社長はとんでもないことを口にする。
「心配しなくても…そのつもりだ。」
私は驚き過ぎて声も出ないほどだった。
お母様やお爺様は無言で頷いているが、少し嬉しそうにしている。
なぜこのような事になってしまったのだろうか。