一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係
「ここで服を脱ぐのですか?」
私が戸惑いながら質問すると、その女性は微笑みながら私の来ているジャケットの釦を外した。
その女性は慣れた手つきでスルスルと私の服を脱がせていき、気が付けばブラとショーツのみになっていた。
私は恥ずかしくて、胸を腕で隠すとその手は無理やりに外された。
「恥ずかしがらなくて大丈夫よ…ブラも外してサイズを測りましょう。」
彼女は私の背中に手を回すと、器用にパチッと小さな音をたててブラのホックを外した。
すると、ブラは胸から滑り落ちるように床に落ちてしまった。
私は恥ずかしさで顔が沸騰しそうに熱くなる。
いくら女性同士でも真正面から胸を見られたら恥ずかしくてどうにかなりそうだ。
「まぁ…真っ赤になって可愛いわね。」
彼女は私の胸の頂に口元を近づけると、次の瞬間ペロッと舐めたではないか。
「…ヒヤッ…何をするのですか!」
驚きと不意に与えられた感触に背中がゾクッとして変な声が出てしまった。
「あらあら…とても感じやすいのね…翔也が気に入るのもわかるわね。」
彼女は藤堂副社長を翔也と言っている。
かなり親しい関係なのだろうか。
「あの…あなたは藤堂副社長とお付き合いされているのですか?」
すると、少し驚いた表情を見せた後、お腹に手を当てて大笑いをしたのだ。
私は意味が分からず言葉に困っていた時、彼女は話しを始めた。
「奈々ちゃん…あなたは本当に可愛いわね…私が翔也と…きっと彼は怒るわよ。」
なぜ怒るのか分からず、私が怪訝な顔をすると、いきなり彼女は着けていた髪のウィックを外した。
そして、髪を手櫛でくしゃくしゃと直して私の方に振り返った。
「私はね…いや…俺は、女装が趣味でね…こう見えても普通に男なんだ。翔也とは古い知り合いで、腐れ縁ってとこかな。」