一夜限りでは終わりたくない
第1章 一夜限りの関係
私はマンションを出て夜の街に飛び出した。
無意識とは恐いもので、私はなぜかいつも会社に向かう電車に乗り、最寄り駅で降りていたのだ。
もちろんこんな時間に会社に行くことは出来ない。
私は少し歩くと、路地に小さな灯りを見つけた。
誘われるように近づくと、そこには小さなバーがあったのだ。
こんなところにバーがあったことも知らなかった。
私は引き込まれるようにそのドアを開けた。
すると、そこにはカウンターがあり、男性がひとり座っていた。
中から初老の男性が声を掛けて来た。
バーのマスターだ。
「いらっしゃいませ…どうぞお座りください。」
マスターは静かな口調で言葉を続けた。
「何をお飲みになりますか?」
私はアルコールをほとんど飲まないが、今日は飲みたい気分だ。
「あの…なにか…飲みやすい…強いお酒をお願いします。」
マスターは私の言葉に驚いたように目を見開いた。
同時に隣にいた男性も振り返ったのだ。
隣の男性の顔を見て、どこかで見たような記憶はあるが思い出せない。
マスターは何も言わずに、カシャカシャとシェーカーを振り出した。
そして、ショートカクテルのグラスにゆっくりと注いで私の前に静かに置いた。
「これはX・Y・Zと言うラムベースカクテルです。…理由は聞きませんが、このカクテルの名前同様に辛い事は忘れてすべて終わりにしましょうか」
無意識とは恐いもので、私はなぜかいつも会社に向かう電車に乗り、最寄り駅で降りていたのだ。
もちろんこんな時間に会社に行くことは出来ない。
私は少し歩くと、路地に小さな灯りを見つけた。
誘われるように近づくと、そこには小さなバーがあったのだ。
こんなところにバーがあったことも知らなかった。
私は引き込まれるようにそのドアを開けた。
すると、そこにはカウンターがあり、男性がひとり座っていた。
中から初老の男性が声を掛けて来た。
バーのマスターだ。
「いらっしゃいませ…どうぞお座りください。」
マスターは静かな口調で言葉を続けた。
「何をお飲みになりますか?」
私はアルコールをほとんど飲まないが、今日は飲みたい気分だ。
「あの…なにか…飲みやすい…強いお酒をお願いします。」
マスターは私の言葉に驚いたように目を見開いた。
同時に隣にいた男性も振り返ったのだ。
隣の男性の顔を見て、どこかで見たような記憶はあるが思い出せない。
マスターは何も言わずに、カシャカシャとシェーカーを振り出した。
そして、ショートカクテルのグラスにゆっくりと注いで私の前に静かに置いた。
「これはX・Y・Zと言うラムベースカクテルです。…理由は聞きませんが、このカクテルの名前同様に辛い事は忘れてすべて終わりにしましょうか」