一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係
私が何も言わず俯いていると、翔也はゆっくりと話しを始めた。
「今、分かった事がある…奈々は怒るかも知れないが、奈々が俺に焼きもちを妬いてくれているのが…少し嬉しいな。」
いきなり嬉しいなんて言われて、恥ずかしさで顔が熱くなる。
「奈々には…専務…いいや、早乙女 理沙(さおとめ りさ)の話をしないとならないな…理沙は俺の元彼女だった。しかし俺の中ではもう終わっていることだ。」
私は思わず声をだした。
「でも、昨日は梨沙さんとご一緒でしたよね?」
翔也は静かに頷いた。
「どうしても話をしたいと言ってきたんだ。俺とよりを戻したいと言われたよ…俺は断ったが、納得はしてもらえず…なかなか帰ることが出来なかったんだ。…昨夜、梨沙とは何も無かった…安心しろ。」
翔也に説明されて急に恥ずかしくなった。
これでは私が翔也の彼女みたいではないか。
「翔也さん…申し訳ありません。なんか…わたし…ずうずうしく聴いてしまって…そんなつもりは無かったのですが…」
すると、翔也は口角と片眉を上げて意地悪な微笑を浮べた。
「ほぉ~、そんなつもりとは…どんなつもりなのかな?」
「もう言わないでください!」
私は恥ずかしさからいたたまれず、立ち上がろうとした時、翔也は私の腕を掴んだ。