【お題小説】ぼくのサマーカーニバル(5ページ完結)
第1章 〈町にカーニバルがやってきた!〉
町に久し振りの移動式遊園地がやってきた!
2年に一度、夏のいちばん暑いシーズンに1か月間開かれる旅巡業のイベントだ
町のはずれの何も無い場所が、夏だけの限定のサマーカーニバル会場になるのだ
マイクも兄のロジャー、そして現在別居中のパパに連れられて町の夏祭りにやってきた
しかし、今年のお祭りはマイクにとってはさほど楽しいものではなかった
兄のロジャーは早々にクラスメートたちと合流してどこかへ行ってしまい、パパは常に会社の誰かと電話ばかりで一緒に楽しんでいる様子はみられないのだから
それにもうひとつ、マイクが懸念していることがある
夏祭りが始まってすぐ、近所の友達サムの失踪騒動があったからだ
すでに数週間経ったもののいぜん彼の消息は掴めなかった
マイクがひとりでメリーゴーランドに乗り込むも、それを見守る役目の筈のパパはやっぱり誰かと電話で話していて、なにやら揉めているようだ
マイクはパパに向かって手を振ることをやめてしまった
別居中のパパは月に一度だけマイクたちと顔を合わせることが出来る
最初の頃は楽しく遊んでくれていたものだったけれど、今では義務で会っている事が子どものマイクにもわかってしまっていた
3つ歳上の兄ロジャーは家族より友達を優先しているし、一緒に暮らすママは深夜以外家におらず常に掛け持ちで働き詰め
仲が良かった家族の姿はもうなくなっていた
マイクといつも一緒に遊んでいたサムももう居ない
今年の夏祭り「サマーカーニバル」はマイクにとって寂しいものになっていた