【お題小説】ぼくのサマーカーニバル(5ページ完結)
第1章 〈町にカーニバルがやってきた!〉
「うわぁッ!?ビックリしたぁッ!」
思わずマイクは後ずさった
そのとき檻の向こうの囚人の足元が気になった
囚人の足元のスニーカーが子どもサイズだった事に気がついた
もしかしたらあの囚人の役をしているのは子供なのかもしれない
移動式遊園地のような旅一座はいくつかの家族で世界中を巡業しているのだろう
マイクは驚きながらも檻の前を駆け抜けた
“そういえばサムも同じスニーカーを履いていたな”
とマイクは先日行方不明になっている友だちのことを思い出していた
ホラーハウスを出る
出口にパパの姿は無かった
いろいろ楽しんで来い、との事だったのでひとりでまわってきても良いとの事だろう
マイクは少しだけ大人になったような気分になり、次のアトラクションを目指した
ミラーハウスもとても楽しかった
右を向いても左を向いても自分の姿かある
他の子どもたちは思いっきり鏡にぶつかっていてとても痛そうだった
鏡がさらに鏡に反射する
昔お母さんが見せてくれた万華鏡カレイドスコープを思い出させた
突然、鏡の中から兄のロジャーが出てきた!
「あ、お兄ちゃん!」
マイクは喜んだが、兄のほうはそうは思っていないらしく面倒くさそうな顔をしてふたたびクラスメートのほうへ行ってしまった
「なんだよロジャー!自分ばっかり友だちと遊んでてさぁ!ズルいよ!」
ミラーハウスを出ると遠くにぼんやり赤い明かりが見えた
とてもアジアンチックな飾り付けがある
東洋をテーマにしたアトラクションのようだ
赤い鳥居、木造の神社を模した建物、キツネのお面をした女性が踊っている
「いらっしゃい坊やはひとり?
ここは呪いの館、坊やの願い事はなんだい」
キツネの女は踊りながらかん高い声で笑っていた