テキストサイズ

Kalraの怪談

第38章 三十八夜目:死神

☆☆☆
「私、その時、その騒ぎの中で、もう一度、その子がいた木立に目を向けたの。その子はそのままいたわ。みんなが大騒ぎしているっていうのに、身じろぎもせず。」
そして、とD子は続ける。
「その子はもう一度笑って顔を上げた。
 その時、その子の目が初めて見えた。
 目のあるべきところが、真っ黒だった・・・」
あの黒猫のようにね、とD子は言った。

「どう思う?」

猫と女の子。姿は違えど、死にゆく人を看取るもの、死神、というわけか・・・。
もしかしたら、そういうモノがいるのかもしれないね、と請け合う。

「うん。後で聞いてみたら、誰もそんな黒い服の子を見ていないって言うの。これが二回目。それで、実はつい最近・・・」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ