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愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第3章 モンスター

キキーーーッ!



突然、バスが急停止した。
何事かと前を見れば、たった今直したばかりの道路の下から、巨大な触手が飛び出してきた。



「!!」



バスはグラグラ揺れて横転する。



「きゃああああっ!!」



身体が投げ出されると思った瞬間、誰かに腕を掴まれ抱きしめられた。



(えっ!?)



ドスンッ!と激しい音と共に衝撃を感じるが痛くない。そっと目を開けると、私の下に黒い帽子を被った男性が下敷きになっていた。



「あっ……」



私の席の二つ前に座っていた人だ。
彼は見ず知らずの私を助けてくれたのだ。



「だ……大丈夫ですか!?」



彼はアンドロイドじゃない。
私を庇ってくれた身体からは体温が感じられる。



「……ああ、大丈夫だ」



だけど彼の声は落ち着いていた。場慣れしている感じで、全く痛みも感じていないようだった。



巨大な触手がバスの窓を突き破って入ってくる。
彼は素早く起き上がると、懐から短剣を出して巨大触手を真っ二つに斬った。



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