テキストサイズ

愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第2章 壊れた家族

それから数日後。
私が推し活をやめたからといって、特に何か日常が変わるわけでもなく、テレビをつければ殺人事件のニュースや事故のニュース、そしてモンスターによる死亡ニュースが流れていた。



『本日未明、A県A市のМ地区の道路が突如陥没し、巨大な穴が出現しました。只今、自衛隊と警察がМ地区を封鎖しており、住民の避難が終わり次第、調査を開始するとのことです』



(М地区って、花梨の家の方だわ……大丈夫かしら)



心配してから、爆レッドのことを思い出す。



(彼がいるから、きっと無事ね……)



私はベッドから起き上がると、洗面所に向かった。
鏡に写る自分の顔をじっと見る。



(酷いクマだわ……。顔もむくんでるし、こんなんじゃ、今日も外に出れないわね)



私は大学を休んでいた。
大学に行けば、花梨に会ってしまう。
できれば花梨から彼の話は聞きたくなかった。



『ユウコ、アサゴハンガ、デキマシタ』



キッチンからAIロボットの声がする。
このAIロボットのことを私は「ビー」と呼んでいる。



「ありがと、ビー。今行くわ」



キッチンから美味しそうな匂いがしてきた。
でもしばらく経つと焦げ臭い匂いに変わる。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ