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夢からサメても【4ページ短編】第10弾

第1章 シャーク×ダンジョン


「貴方達のレベルに見合う依頼が2つあるわよ」

そう言って声をかけてきたのはギルドの受付嬢だ

見せてもらうと港の魔物退治と森のダンジョン討伐の依頼だ

長期間の遠征になるダンジョンより個別の魔物退治のほうが簡潔明瞭だ
しかも港湾漁業協会のほうが払いが良い

俺が依頼書を受け取ろうと手を伸ばしたその瞬間、横から素早くかっさらわれてしまった

「ほぅほぅ、こりゃ良い案件だね?こっちはアタイたちに任せなよ?アンタたちはダンジョンに潜ってちまちまやってるのがお似合いさ〈風の冒険者〉どの!」

そう言って茶化してきたのは何かにつけて絡んでくる女だけのパーティー〈鮮血の乙女〉のソフィーだ
いつも上から目線で態度のでかいイヤな女だ


俺は仕方なく残された森のダンジョン討伐の依頼書を受け取る

「良いの?ジェフリー、言わしておいて」

「かまうもんか、相手にしてらんないよ」

あいつらに関わっていては気分が悪くなるだけだ


3日後、俺たちはダンジョンの最下層にまで潜っていた
人を喰らう迷宮だが生まれたばかりの迷宮はレベルの低いモンスターばかり

厄介なのは森の中で何年も見つからずに巨大化してしまったような古い迷宮だ
それらに比べれば此処の迷宮は比較的クリアしやすいものだ

だんだんと階層を下に潜って来て、ようやくダンジョンそのもののボスモンスターが現れた

今までの階層ボスよりひと回りもふた回りも巨大な〈大木の巨人〉だ

屋敷ほどの巨大な身体から繰り出される攻撃は一発でも食らうとアウトだ

4人で取り囲み次々と攻撃を加えてじわじわと相手の魔力を消費させていく

もうそろそろヤツのHPもほとんど残っていない

俺たちは最後のラッシュを繰り出した

ドワーフの重い攻撃!
獣人の素早い攻撃!
魔法使いが火の魔法を放つ!
後衛の俺が疾風のスキルを発動させる!

火に包まれた〈大木の巨人〉は燃える枝腕をぶんぶん振り回し、周りに火の粉を散らせた

「やったね、ジェフリー!ダンジョンボス討伐だ!」

「油断するな、まだ倒れちゃいない!」

ドワーフがとどめのハンマーを打ち下ろした瞬間

〈大木の巨人〉は最後のスキルを放って燃え尽きた

〈空間転移〉!?

俺はヤツの最後のあがきをまともに食らってしまい、ダンジョンから弾き出されてしまった…

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