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晴れ。ときどき雨。

第94章 29日(水)






ちなみに私の出番は少ないですが、

その台詞というのが、



「幸司さん、思い出してくれたんですね。私のこと。
よかった。私のことなんか、とっくに忘れてしまったのかと思いました。
二人で会った時も野球の話ばかり。
私の話は全然聞いてくれなかった……というのは嘘。
ただちょっと当たってみただけですからご心配なく。

あなたはいつも私のことを気遣ってくれましたね。
あなたが野球に打ち込む姿を見て、私はどれだけ元気づけられたことでしょう。
東京に出たあとも、新聞に、大学野球の記事が出ているとつい目がいってしまいました。

思い出します。あなたと初めてお会いした日。4月の終わり。
妹の千代さんに付き添って病院までいらしてくれましたね。
何だか照れたように、病室から見える桜ばかり見て、綺麗だ、綺麗だって。
まだ三分咲きでしたのに。
あなたともう一度、桜を見るのはいつになることでしょうか。

幸司さん、鹿児島からいただいた手紙を読んで、私は正直言葉がありません。

“私たちの出撃は、再び帰ることなき出撃であります。
この身ひとつをお国の為に捧げ、悠久の大義に殉じる。”

幸司さん、私の知らない間にあなたはどこへ行ってしまうのですか。
あのウイニングボールは、今もあなたのそばにあるのでしょうか。
甲子園を決めたウイニングボール。私とあなたを繋ぐボールです。
私もきっと丈夫になってみせます。だからもう一度、もう一度、あのボールを私に届けてください。
お願い、死なないで。きっと帰ってきて。帰ってきてください。」






なwwがwwいwwww



\(^0^)/




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