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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


「どうしたの?」

「これ、渡そうと思って。遅くなっちゃったけど」


 そう言って差し出してくるのは二枚の紙。


「コスプレ鬼ごっこのメンバー一覧と、ルールをまとめた用紙。ルールはもう一度確認しておいてね」

「わざわざありがとう。宵の支度はもう終わったの?」

「とっくに終わってるよー! 朝早くから始めたからね」


 明がにっこりと笑う。

 晃はさらに質問を続けた。


「じゃあ、クラスに?」


 もしまだクラスにいるのなら、訪ねていってメイド服姿をからかってやろうと目論んでいたが、明は苦笑混じりに首を振る。


「ううん、とっくに逃げちゃった。コスプレもメイクも相当嫌がってたからね。もう、どっか人気(ひとけ)のないところに隠れてるんじゃないかなー」

「それはそれで宵らしい」


 晃も苦笑する。

 まったく残念そうなじゃない顔で残念、とつぶやいて、晃はルールの書かれた用紙に視線を落とした。


「じゃあ、あたしクラス戻るね」

「うん、また。頑張って」


 晃は片手を上げて、優等生の顔で明を見送った。

 そうしてもう一度視線を落として、コスプレ鬼ごっこのルールを読み始めた。

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