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第16章 妄信的なナニカ


 駆け足でビルの出入り口へ向かい、三つの施錠をパスした千尋は一階の駐車スペースを見て目を見開けた。


「お、朽無から取り返してきたのか」


 普段通りの快活な笑みを浮かべている永井だが、その片腕で抱えられているものに千尋は慌てて永井の傍に駆け寄った。

 まるで樽か何かのように抱えられているそれは、どう見ても意識のない悠理だったのだ。

 身に着けているブレザーの制服に破損はないが、身動き一つしていない。


「ど、どうしたんだよコイツ!?」


 そう永井に掴み掛らんばかりに詰め寄った千尋に、永井は「さわぐほどのことじゃねーよ」と苦笑した。

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