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第16章 妄信的なナニカ


「つーことで、お前が部屋まで運んでくれ。それで問題ないだろ」


 そういってコートでも渡すように悠理を差し出してきた永井に対し、「あのな……」と顔をひきつらせながらも丁寧に彼女を抱きかかえる。

 そこで初めて見えた悠理の表情は、よどほ疲れているのかぐっすりと熟睡しているように見えた。

 寝息をつく度に上下する双丘や触れているスカートから伸びた足に何も思わないといえば嘘になるが、その寝顔を見れただけでも千尋は十二分に満たされていた。

 首元を緩く締めているネクタイにも安心しながら、千尋は先に行ってしまった永井の後を追いかけた。

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