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第9章 愛情の欲情

「みつかんねえなー……」


 千尋はそう訝しげに眉を潜めながら真っ暗な自室に入り、パソコンや細かな機材の置かれているデスクスタンドのスイッチをいれた。

 すると暗がりだった室内に明かりが点り、室内の様子が浮かび上がる。

 床に置かれていた工具類や棚に所狭しと並べられている本ーーそれだけを見れば、千尋は中学生だった当時とそれほど変わっていないかのようだった。

 しかし、彼がここへやってきた四年前と今では室内の様子が大きく変わっている。

 その理由は工具でも本でも大きな棚でもなく、室内の壁に所狭しと貼り付けられた大量の悠理の写真だった。

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