テキストサイズ

狼と白頭巾ちゃん

第16章 あなたの隣で…

言い終わったあとも、ライラから顔を背け俯いていたシンの手に、ふっと、温かく柔らかい感触が届いた。


それは、ライラの手の温もりだった。


ライラはシンの手をそっと握り、自らの頬へと導いた。

そして驚くシンの手の平の中に頬を埋めると、目を閉じながらシンに告げた。


「シン?あなたに触れることができて、私が今どんなに嬉しいか、あなたに分かる…?」

ライラは次に顔を上げ、困惑したような表情のシンを見て、クスッと笑うと、言葉を続けた。


「私、会えない間色々考えたって、言ったでしょ?色々考えて、私、分かったの」

「?何、が…?」

「あの時何故、あなたが突然私の前に姿を見せたのか、私には分からないけど…。あなたは多分…、いいえ!絶対にその事を後悔しているわ」

「………。」

「だから、怖がらせてしまった私に謝りたくて、毎日贈り物を届けてくれた…。違う?」


俯くシンの目を、ライラは下から覗き込みながら見詰めてくる。

シンは苦しそうにまた目を逸らすと、


「……あの時は、本当に済まなかった…」

ライラに謝罪した。



ライラは、彼女の目から逃れようとするシンと目を合わせようと、精一杯背伸びをしてシンの頬を両手で包み、

ゆっくり自分のほうを向かせ、

シンと目が合ったことを確認すると、

にっこり微笑み、告げた。





「私はね、シン。あなたのその優しい心に惹かれたの」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ