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眠れぬ王子と猫な僕

第8章 動きだした影

大野side






やってしまった…………




俺としたことが……





大事な妖巳を逃がしてしまった。







俺の妖巳。俺だけの妖巳。





今頃誰かが妖巳に触れていると思うと、気がくるいそうだ。








『はぁ!?逃がした?何のためにアンタに貢いでやってると思ってんのよっ?』





電話の向こうで叫んでいるのは、妖巳の母親だ。





俺の愛人でもあるが、あんな女に興味はない。




あの女に近づいたのは妖巳を手に入れる為。






妖巳はあんな女より可愛くて美しい。





まるで宝石のようだ。













でも、その妖巳が逃げ出した。





『絶対に連れ戻しなさい。あの糞ガキっ!戻ったらコキ使ってやるわ。次は地下に閉じ込めてやる!!』










言われなくても連れ戻すっての。







そう遠くへは行ってない筈だ。





あんな状態でお金も無いのに遠くへ行ける訳がない。







待ってろよ。




次は逃がさない。









―必ず手に入れてやる。




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