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オレンジ

第9章 裏と表

確かにいつもの表情とは違い余裕がなく、頬が少し緩んでいて、微かに赤くなっていた。私は思わずボソッと口に出していた。

「か、可愛い……」

その瞬間、ギロッと睨まれた。
同時に引っ張れた身体が、あっという間に律の逞しい胸に収まった。

わざとらしく耳元で囁く

「お前の方が可愛い」

「――っ!!」

心臓が止まりそうなほど、鼓動が加速する。律の声に力が入らなくなりそうで、必死にしがみつく私に甘く囁く。

「俺だけを見てろ、他の男に触らせるな。
――後は名取を名前で呼ぶな」

「は、はぃ……」

「フッ、心臓すげぇ―バクバクいってんな」

『誰のせいですか!?』
と言いたかったけど私は律の温もりを感じながら、睡魔に襲われていた。

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