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第2章 関係

私はソッと教室の入り口を見た。

近寄りがたい空気を漂わせ、入り口に立つ人は長谷川律

不機嫌な顔で、ズカズカと教室内に入るのはいつもの事です。でも、今日は少し違っていた。微かに見える手首の包帯と、顔の傷からして喧嘩でもしていたかのように制服の白いシャツが汚れていた。

彼が隣の席に座る。

私は心配していた。

「あの、その傷は…
どうしたんですか?」

「絡まれた」

こっちを見ないで言う彼は、凄く機嫌が悪いようです。横顔の眉間のシワが消えません。

それに、唇の横の辺りに血が着いていて私はガサゴソとカバンの中を探し、見つけた物を差し出した。

「えっと、これ使いませんか?」

ふと、私の手に持つ物を長谷川は見るなり立ち上がり、今来たばかりの教室を出る様子に私も追い掛けた。

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