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残された私と名取
さっきの事があり気まずい。

初対面に近い人に、大きな声を出してしまった罪悪感からチラリと横を見た。

すぐに気付かれ、私は慌てながら言った。

「ご、ごめんなさい!!　ちょっと嫌な事があって……」

「ん――、気にしてないよ。
誰にだって、そんな時があるし
ちょっとタイミングが悪かっただけだよね」

言って笑う名取に、私はホッと安心していると

不意にオデコに触れた手だった

「あ、あの……？」

戸惑いながら声を出すと名取は

「ちょっと熱いけど
大丈夫？」

「え、大丈夫です！　多分熱いのはさっき走ったからだと思います」

そう言い柔らかく笑うと、名取もニコッと笑って

「うん、笑った方が可愛いよ～ね」

「え、え!?」

可愛いなんて、言われた事がなくて焦る私を見ながら名取は言った。

「ねぇ、睦月ちゃんって呼んでもいい？」