君がくれたぬくもり
第36章 大きな背中
「岳ちゃん、早く早く!」
千夏は俺の腕を引いて無理矢理海に連れていく。
足をつけるとひんやりと冷たかった。
「冷た……」
「あははっ!それー!」
「……っ!?」
バシャッと音と共に顔に水がかかった。
いてぇ……
目に入った………。
「岳ちゃんあっち行こうよ!」
千夏は浮輪に入り、ぷかぷかと浮いた。
ふと、あいつを見る。
「あれ……?」
俺は周りを見た。
浮輪はあるのに
あいつがいない……
嫌な予感がした。
と、同時に俺は浮輪のある方向に泳ぎ出す。
「陽菜!!」
「えっ、岳ちゃんどうしたの!?待ってよ!!」
しがみつく千夏。
俺は千夏を突き放し、ただ夢中に泳いだ。
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