
君がくれたぬくもり
第50章 side千夏
それからさらに時が経ち、
朝、用事でたまたま近くに来たから、岳ちゃんの家に寄ったことがあった。
そこで、あたしは疑問を感じた。
岳ちゃんから…
女の匂いがする…。
甘くて、せっけんのような優しい香り…
岳ちゃんの匂いとは少し違う。
あたしはよく知ってる。
これは女物の香水…
または、ボディコロンの匂い。
その時、初めて嫉妬をした。
岳ちゃん…
ほかの女を抱いたんだ…。
―――そしてこの家の中に
その女がいる…
そう思うと腹が立ち、あたしは思わず岳ちゃんにしがみついた。
「おい千夏…やめろよ。」
さすがに動揺する岳ちゃん。
それは、ほかの女に見られてまずいから?
ねぇ、あたしの知らない間に、あなたは誰と何をしているの。
「岳ちゃんは……あたしのでしょ……?」
「あ?……あぁ……」
少し戸惑ったようにあたしの頭をそっと撫でてくれる。
ねぇ、岳に抱かれたあなた、
見ていますか?
お願いだから、あたしから岳ちゃんを取らないでください…
岳ちゃんはあたしだけのものなんだから…
