君がくれたぬくもり
第54章 party
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「そろそろ帰るか…」
ぐったりと膝の上にある陽菜の頭を撫でながら岳が囁く。
陽菜を見る岳の目はどこかせつなかった。
気づけば空はオレンジ色。
というよりも、すでに紺色の薄暗い空へと変わっていく最中のようだ。
「うん…」
陽菜はけだるい身体を起こし、岳を見上げる。
何となく…引き寄せられるように唇を寄せた。
―――ちゅ。
甘く、少しだけほろ苦いキスをして、顔を見合わせた。
「目がトロンってなってる。」
岳はクスリと笑う。
だって気持ちいいんだもん…
岳とこうして抱き合ってるだけで
あのからっぽで干からびてしまっていた陽菜の心は満たされていくんだから…。
「好き……」
「知ってる。」
もう一度、優しいキスが落とされて
「行こうか」
と岳は陽菜の手を握った。