テキストサイズ

完熟の森

第16章 別れと始まり

案の定、雫は七輪の火に苦戦していた。


僕は黙ったまま軍手をして、炭を組み直し少しの枯れ葉と着火剤を入れる。


火は赤々と燃え、炭に火が移る。


パタパタと団扇で扇ぐと炭は赤くなった。


火が落ち着いたところで網を乗せた。


「秋刀魚は?」


雫は秋刀魚の入ったビニール袋を僕に渡す。


僕は菜箸で秋刀魚を二尾網の上に乗せた。


秋刀魚の油が炭に落ち、ジュウジュウとした。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ