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麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】

第4章 異端者

「お義母さんを信じなよ。お義母さんは、あんたを必ず妓生に仕立て上げるつもりだから。まあ、どんな深い読みがあって、いまだに浄蓮を見習いにもしないのかは、あたしには判らないけど―」
 それにね、と、明月は片眼を瞑って見せた。こういう仕種は、この妓生が本来は茶目っ気のある女なのだと教えてくれる。
 どうも、自分は明月という妓生を大いに誤解していたようだ。
 これでは、女将に言われても仕方ない。何も判っちゃいない小娘だと。
「それにさ、人間って、時には泣いた方が良いと思うんだ。いつも我慢に我慢ばかりしてたら、心が固ーくなっちまって、それこそ本当の氷みたいになっちまう。今までさんざん苛めてきたのに今更だけど、あたしは、あんたが好きだよ。あたしね、実家に妹を残してきたんだ。丁度、あんたくらい。もうそろそろ嫁に行く歳だけど、妹はせめて、あたしみたいにならずに、貧乏でも良いから、妹だけを大切にしてくれる誠実な男の嫁さんになって欲しいなと、いつも思ってる」
「―姐さん、済みませんでした。私が悪かったんです。私が今まで生意気だったから、姐さんに不愉快な想いをさせて、それに、昨日はいきなり突き飛ばしたりして、ごめんなさい」
 浄蓮の眼から涙が溢れ出し、明月は優しい笑みを浮かべた。

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