
紙ヒコーキ
第2章 はじまり
さわやかな5月の風が、私の髪を揺らす。
肩まで伸びた真っ黒なストレートの髪が静かに揺れる。
私―――雨宮 咲帆は、ここ、屋上にきていた。
屋上から、校庭の方を見ると、野球部が声をだしながら、全員で走っている。
サッカー部も、テニス部も、どの部も忙しそうに活動している。
部活動に参加している生徒だけでなく、帰宅する生徒も多くいる。
友達と、あるいはカップルで、楽しそうに話しながら、笑いあいながら帰っている。
そんな光景を、どことなく眺めていると、ふと思った。
自分には遠い世界だな、と。
