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続・捨て犬

第9章 や、やわれけ~、つか、あったけぇ~

動物園は
車で1時間半くらい


萩原の趣味の
レゲエを聞きながら
俺たちは
動物園へと向かった


「天気良くて
よかったな~」


「・・・」


「楽しみだな?」


「・・・・」


わかってる

エミは
笑顔で頷いてるんだよな?

けどさ

運転してんだから
声、出してくんね?


「何が一番見たい?」


「え~~っと・・・
いっぱい
・・・あるから・・」


「たとえばでいいよ」


「うん・・・
あのね、ペンギン」


「え?ペンギン?
なんでだ?」


「スイスイ~って
泳ぐんだよ、カズマ」


「じゃあ、魚見ればいいじゃん」


「魚いるの?」


「あ・・・いね~?かも?
魚が見たいのか?」


「魚も・・見たい」


「そんな魚好きなら
水族館行けばよかったなぁ
そんな、魚好きだったか?」


「気持ちよさそう」


「なにが?」


「スイスイ泳いでるの
・・うらやましい」


「あ、お前
カナヅチなの?」


「カナヅチ?」


「泳ぐの下手で
泳げないって意味だよ」


「ん・・・・わかんない
体育のプールは
おやすみしてたから」



「あ・・・そっか・・」


水着がなかったのか

それとも
アザだらけで
水着になれなかったのか


勝手な自分の憶測のせいで


俺は
すぐに返事ができないでいた


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