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続・捨て犬

第19章 最終章③・・・本性


「カズマ、待たせたな」


駅から出て来た萩原に声をかけられ
俺は
ハッと我に返った

萩原の
俺を見る目で
自分の目に涙が溜まってるのに
気付いたからだ

慌てて俺は
二人に背を向けた


「タクシー乗んねーと
…ちょっと遠いんだ…」


「そうか」


おばさんも
気付いてたんだろう

見なかったことにしてくれたのか
俺に声をかけることもなく
タクシー乗り場に向かう
俺達の後ろを
静かに着いて歩いていた


「さて、どうする」

タクシーに乗ると
早速作戦会議が始まった


エミの実家まで15分


「エミを…駅の周りを探したけど…」


「わかった。
エミちゃん
家に居ると思うか?」


俺は
少しうつむいたまま
首を横に振った


「あんなに親を怖がってたんだ
そう簡単に
帰れるとは思えない」


「心は
帰らないとと思ってても
帰ることができねぇってことか…

ひでぇ親だ」


これからどうするのか
きめなきゃならないのに

萩原のその一言で

タクシーの中は
静まりかえっていた


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