テキストサイズ

井上真緒編

第2章 2

真緒「なんか、立地が微妙だね」
田中「そうですね。駅からは近いんですけどね」
真緒「うん。それとここ下ってない」
田中「少し下ってますね」
真緒「建物は新しいか。でも、ずいぶん魅力のない建物だな」
田中「課長も、いってましたね。魅力のあるものにすればいいんだって」
真緒「っていうか、それ内装でしょ。外側は変えられないよ」
田中「そんなに酷いですか」
真緒「私は嫌いだなこの建物」
田中「へえ」
真緒「田中君はどう思う」
田中「パットはしないかもしれませんが、それほど酷いとは思いませんよ」
真緒「本当に。田中君センスないんじゃない」
田中「そうですか」
真緒「ごめんね」
田中「いいえ。僕は、不動産投資のほうに興味があったんですよね。それにうちは内装やだし」
真緒「そんなことないよ。外装も変えようと思えば変えられるよ。ただ、あんまりやらないね。外壁とか色を変えるぐらいだから」
田中「それじゃ、ここも変えるんですか、外装まで」
真緒「まさか。こんなモダン崩れのようなのは、変えるにも変えられないよ」
田中「それじゃ、どうするんですか」
真緒「なんかこの仕事、あんまりいい仕事じゃないね。課長もそれで、任せるなんていったんだよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ