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井上真緒編

第3章 3

まあ、どういうつもりなのか分からないが、一応からだの心配をしてくれているふうだった。ただ、チリ子と話をすると、小倉のことをどうするのかを考えることになったが、それよりも、あの化け物がなんなのかが今は気になった。いろいろパターンを考えてみた。体調が悪いので、ああいったものを見た。しかし、それは幻覚に近いものだった。あれは幽霊で通り過ぎただけだった。もしくは、地縛霊が居座っている。地縛霊は、体調が悪いと見るという話もテレビで見たことがある。とにかく、どういったものかを確認しなくてはいけない。もし、またでてくるようだったら、その時は引っ越しをするしかないと思った。真緒は、午後から現場を見に行こうとしたとき、偶然小倉にあった。ときどきメールのやり取りはしていたが、実際にあうのは、3週間ぶりぐらいだった。

真緒「どうしてた」
小倉「あ、ごめん。忙しかったんだ」
真緒「私も。今度、新しい仕事を任された」
小倉「へえ、すごいじゃん。どこなの」
真緒「Y駅の小さな物件だけど」
小倉「ふうん。あのあたりは、最近下がってるんだよね」
真緒「そうなんだ。無理な物件だから、課長が押しつけたんだと思うよ」
小倉「中間さんは、そんなことはしないよ。ねえ、来週、食事しようか」
真緒「え、いつ」
小倉「電話するよ。ごめんね、今急いでいるから。仕事頑張ってよ。それじゃ」
真緒「うん」

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