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井上真緒編

第4章 4

真緒は、なんと偶然にも恐ろしい話を聞いてしまった。しかし、テレビに出るぐらいの人がいうんだから、本当なのではないかと思った。もちろん、それは、自分が今から確かめなくてはいけないのだろうが、ただ、引っ越ししても無駄だというのは、悔しかった。あんな変なのに、人生をぼろぼろにされたら大変だ。それも居座ろうなどという、ずうずうしいやつなのだ。とにかく引っ越しても問題が解決しないというのが本当なら、これは大きな問題だ。これからもあんなのと付き合っていかなくてはいけないのだから、当然気が重くなった。なんで、あんなのがこの世にいるのよ。真緒がそう思うのは当然だったが、何とも不思議なキャラクターというか、思わず笑ってしまうような、貧乏神なのだ。神々などと軽々しく名乗るのだ。しかし、いつまでもはいられないというのは、いい話を聞いたような気がした。それだけでも、勇気はわいてきたのだ。マンションにつくと、まだ日の明かりは残っていて、チアキはいないのたが、カーテンを閉めて、明かりをつけると、チアキは浮かび上がってきた。

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