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澪―みお―

第1章 ワタシという入れ物

いつからだっただろう。

ワタシの場所に人が来るようになったのは。
彼ら彼女らは、総じて青い顔をしていた。
そしてワタシの前に現れたと思ったら、しばらくしてそのさきへと消えていってしまう。
いや、正確には落ちていくと言うのだろうか。
無表情で壊れかけてもはや存在の意味のない柵を乗り越えたかと思うと、こちらをチラリと伺いヒラリと落ちる。
ワタシは黙ってソレを見ている。
いや、

「あ」

とだけ発してしまう。
なぜならそれが命を絶つという行為だと知っているから。
止めればいのか、見届けた方がいいのか。
未だにワタシはわからないでいる。
それは直前までの彼ら彼女らがミエてしまうせいでもあるのだ。

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