秘書のお仕事
第2章 屈辱
『な…何でしょうか?』
「相沢さんは、こちらにどうぞ」
おじいさんはスッと手を流して、あたしを促した
あたしはエレベーターのボタンから手を離し、おじいさんについて行った
コツコツと、固い廊下を、二人の足音が響く
ずっと歩いていくと、他の部屋の倍はあるであろう、大きな扉が目の前に現れた
「どうぞ」
おじいさんはキィ…と扉を開け、あたしを部屋の中へ入れた
壁はほとんどがガラス張り
ここからは、この都会中が見渡せそうだ
特に無駄なものは置いていないこの広い部屋には、接客用のソファーやテーブルが手前に、
そして普通にデスクワーク出来るような机が、真ん中でこっちを向いて置いてあった
『あの…ここは…』
あたしがおじいさんの顔を窺おうとした時だった
「あ、来た来た」
そんな声が、前方から聞こえた