 
向かいのお兄さん
第14章 影
『…』
その様子を、静かに見ていたあたし
直也はこっちを向くと、ベッドに腰を下ろした
「知らない人についてったらダメって、聞かなかった?」
説教のつもりか、何なのか…
直也は薄く笑いながら言う
「すげえ尋ね回ってここ突き止めたけど、間一髪だったなー」
あたしの頭に手を置こうとする
黙っていたあたしの中では
何もかもが渦巻いていて
それが一気に
吹き出した
『あんたのせいだ!!』
あたしが叫ぶと、直也はその手をびくつかせた
『あんたがあたしの"声"を録ったりするから…
だからあたしがこんな目に遭ったんだ!!』
バンッとベッドを思い切り叩く
何かにぶつけないと
何かに…
 
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