向かいのお兄さん
第15章 玄関先の
―――――――――――
ジリジリと照り付ける太陽
こうやって、外を出歩くだけでも焼け焦げてしまいそうだ
『こんにちはー』
「あら、松浦さんのところの?」
ちょうど用事のあった近所のおばさんが
家の前でほうきを掃いていた
『はい、回覧板です』
あたしはおばさんに回覧板を渡した
めんどくさいから渡してきて、とお母さんに頼まれたものだ
未だに娘が受験生だという感覚を持てない親に
げんなりする
「わざわざありがとうね、今は…夏休み中かしら?」
『はい、勉強ばっかりですけどね』
あたしはハハハと笑ってみせる
これだ
これでこそ本来のあたしだ
いい子ちゃんぶってるこの感じ
紛れも無い、あたしだ
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