 
向かいのお兄さん
第20章 あたしもね
『お母さん起きてぇえーー!!!!』
あたしは、今までで1番早く着替え
今までで1番早くご飯を食べた
ここまで時間を確認したのは初めてだ
お母さんには、最寄りの駅まで車で送ってもらうことになっていた
だから、あたしもお母さんも、慌てて家を飛び出し
車に乗り込もうとした
けれど
車は雪に埋もれていた
急いで雪を退かし、乗り込んだはいいけれど
エンジンが掛からない
「嘘でしょ!?もう!!!」
お母さんはイライラしながら、ハンドルを叩いた
『…』
あたしは車から降りた
「美咲、どこ行くの!?」
『歩いて行く!!』
あたしは、ローファーに雪が入り込むことも構わず
どんどん雪道を進んだ
車のタイヤの跡をなぞるように、あたしは走った
途中で一回こけて
打ち付けたお尻をさすりながら、また進んだ
『…こけちゃった』
もう精神面でボロボロだった
今にも泣きそうで
でもまだ早い、と先を急いだ
 
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