 
向かいのお兄さん
第24章 今この時間
―――――――――――
「あ…」
あたしが扉を開けると、直也は一瞬あたしの顔を見た
けれどすぐに、その目を逸らす
『…』
そりゃ、気まずいか
また来るよと言ったって、
無かったことにしてって言ったって
昨日のことを考えれば、こういう空気になるのも当たり前かと思った
「やっほ、美咲ちゃん」
あたしは今日は昼のうちに来た
だからちょうど、今から帰ろうとしていた和樹と出会った
『…どう?』
直也は何か、思い出した?
という意味の"どう?"に
和樹は首を横に振った
「直也、じゃあなー」
「うん、バイバイ」
和樹は荷物を片手で全部持ち、もう片方の手を振りながら病室を出た
 
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