向かいのお兄さん
第32章 新入生歓迎コンパ
急に手を離されたあたしは、
支えを無くして
へたへたと座り込んだ
「申し訳ありません、お客様!!」
「あ、謝って済むわけないだろー!!」
あたしは虚ろな目をしたまま、その叫び声の方へ目を向けた
どうやら
店員さんが、運んでいた飲み物を誤って先輩にぶちまけてしまったようだ
なんにせよ、ラッキー…
ってか…
まじで頭がボーッとしてきた…
先輩たちが大声で騒いでいる中、あたしは壁際にもたれ
ゆっくり息を吐いた
「あれ
美咲ちゃん大丈夫~?
まだまだこれから騒ぐんだよー?」
『あ…はい…大丈…夫です…』
正直、大丈夫ではない
その証拠に、ほら…
「お客様、大丈夫ですか?」
目の前で話し掛けてくる店員が、直也に見えるもん…
『大…丈夫…です…』
「大丈夫ではありませんね…」
朦朧とする意識の中
あたしは店員に抱えられ、部屋の外へと連れ出された