
向かいのお兄さん
第36章 どっち
「なら言ってみろよ、
何で美咲ちゃんを無視すんだ?何でお前の家に女が上がり込んでんだ?」
「うっせぇよ!!!」
ガンッと額がくっつかんくらいの勢いで
直也は顔を近づける
殴るのか、どうするのか
もう考えている余裕などないが、
かっちゃんはそれでも口を開く
「キスはもちろんしてたよな?俺見たもん。
由紀ちゃんのことが好きなら、さっさとそう美咲ちゃんに言ってやんなきゃ、美咲ちゃんがかわいそうだ」
「だから…黙れよ…!!!!」
持って行き場のない感情を
ぶつける場所を探したが
その感情も、聞こえてきた声によって
飲み下された
「直也ー、着替えまだー?」
