テキストサイズ

向かいのお兄さん

第38章 不器用なあんた




「俺…」


「直也…!!」





ああ来た



嫌いな声だ…





「由紀…」




由紀先輩が駆けてきて


直也の腕を取った





「やめてよ…直也、あたしのこと好きって言ってくれたじゃない…」




由紀先輩の言葉は


直也を責める




「…」




直也の目は


あたしにも由紀先輩にも留まらないで


中途半端に空中を泳ぐ






『ほ…ら、じゃあね…』





正直、一瞬期待した



直也は

由紀先輩を跳ね退けてくれるんじゃないかって




でも



何?



優柔不断?




「ねぇ…直也ぁ…」





欲しいものをねだる子供のように

由紀先輩は直也を見上げる






そして



直也の目が由紀先輩の目に留まって


直也は

由紀先輩を


抱きしめた











ストーリーメニュー

TOPTOPへ