
向かいのお兄さん
第45章 寒そうだから
「まあ、ありがたく貰っといてやるよ」
『い…いらないなら捨てていいからね…』
「捨てるわけないっての」
投げやりにそう言うと
直也はあたしを抱きしめてくれた
肩に顔を乗せると
いつもとは違って、毛糸で顔がくすぐったかった
「俺のために…美咲、作ってくれたんだな」
『…うん』
「すごい嬉しい…」
『…うん///』
胸の辺りも
くすぐったかった
『あ、手袋も作ったんだよ!!』
出来はマフラー以上に悪かったから、渡すつもりはなかったけれど
直也に喜んでもらえたことが嬉しくて
あたしは、一応持ってきておいた手袋も渡した
