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向かいのお兄さん

第54章 好きだから、食え





直也はあたしの服に目をこすりつけてから


顔を上げた





『鼻はかんでないよね?』



「失礼だな、美咲みたいに鼻ズルじゃないし」




『はあ?
どっちが失礼なわけ?』




直也の目


ホヤホヤーッと充血してる





『もう、泣き止んだ?』



「泣いてないし」





そんな赤い目させて、ばれてないとでも思ってんのかな…?






『直也』




「ん?」




『あのさぁ…』




「うん」





本当は

こんなバレンタインデーになるはずじゃなかった







『これからも、よろしくお願いします』





「何それ、新年の挨拶?」





『違うもん』






もっと甘い甘いバレンタインデーとか

期待してたけど…



かなりのビター味だったし…







『直也は?』



「これからもよろしくお願いします」













お互いの口元が、フニャッと緩んだ




笑いかけることくらいしか思いつかなくて


このあとはキスすることくらいしか思いつかなくて…









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