向かいのお兄さん
第8章 騙された
―――――――――――
平日も、土曜日も
一瞬で過ぎていった
あたしは久しぶりにスカートを履いた
直也の"可愛いんだから"とかいう簡単な台詞に
浮かれてしまったんだ
いや
だからって別に、好きじゃない
むしろ嫌いだ
あたしが今日も仕方なく直也の家に向かうのは
隙があれば、あの"声"を消す機会を窺うため
そう
あの"声"さえ消してしまえば、あたしはあの悪魔から逃れることが出来るんだから…
ピンポーン
直也の部屋のインターホンを押すと
ガチャと鍵を開ける音がし、ゆっくり扉が開いた
「お、来た来た」
『金払え』
「やだ」
直也がもう少し扉を開けると、あたしは部屋の中へと入った
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