 
向かいのお兄さん
第8章 騙された
『な、何でこの人がいんの!?聞いてないんだけど!!』
「あ?
そんなに俺と二人っきりが良かったのかよ」
誰もひと言も言ってねー!!
『騙された!!』
あたしは直也を振り払い、部屋から出ようとした
「い・い・の?」
その言葉に、あたしの足はピタリと止まる
い・い・の?
声を流しても
そういう意味なんでしょう、どうせ
あたしは渋々、また部屋へ戻った
『…』
黙ったまま、机の前に正座する
その隣に直也が、正面に和樹が…
そういう位置に、机を囲んで座った
「まあそんな不機嫌な顔すんなよ」
直也はあたしの肩をポンポンと叩いた
『うっさいわ』
「美咲ちゃん、やっぱり…やだ?」
『何がですか?』
「ヤるの」
『…』
聞いてないっすよ!!??
 
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