向かいのお兄さん
第57章 共に歩んで
…………
ゥイーン
しばらくした後
自動ドアの開く音と一緒に、看護師さんが出てきた
あたしも直也もそっちへ向き直ると、息を飲んでその言葉を待つ
「もう、大丈夫ですよ」
ガクンとこわばっていた肩の力が抜けた
直也なんて崩れ落ちる勢いだった
よっぽどホッとしたに違いない
「よかった…」
まだあたしの手を握って
とりあえず看護師さんの前で泣いてしまうことは避けたみたい
「まじ…よかった」
こんなに目をうるうるさせてる直也、レアだ
普段見ることのできない顔
母親って
特別な存在なんだな