
向かいのお兄さん
第57章 共に歩んで
てくてく歩く
てくてく歩いていく
二の腕あたりを掴んでいた直也の手
掴んでいるのが疲れたのか
いつの間にかあたしの手を握っていてくれていた
『…』
別に
握っていてくれることを拒む理由はない
なんだか静かに
二人して歩くのって久しぶりで
新鮮だなって…
「…ん」
何かさ
あたしが指を絡めたら
ん
って言ってくれた
『照れてんの?』
「は?」
『だって今、一瞬俯いたもん』
「おまっ…」
ギュッて指が挟まれた
「観察すんなよ、趣味悪いわ」
『え、当たってた?マジで照れてた?』
「どこが」
直也っていっつも、俺様なやつだから
からかうの、楽しいな
