
願わくば、いつまでもこのままで
第9章 とまれない、とまらない
夏は終わり
秋となる
10月ともなると
空が朱くなるころから
風が吹き空気が冷たくなってきた
「うー……さみぃ」
手をしっかりとジャンバーのポケットに突っ込み、片手でバイクのハンドルを握る。
そんな俺の背中を年中元気なあの女が布団でも干すかのように叩くのだ。
「いっ」
「元気出しなさいよね!
10月でこの調子で、この先生きていけるわけ?」
「あ、あのなぁ、
俺今生きてるだろうがっ」
「大学、寒さごときでさぼるなよ?」
と、分かったようににっこり笑うのはインテリ眼鏡の梶木君。
「……ふん」
と、まあいつものように3人仲良く商店街を歩く。
休み明け。
やはり最初は園田とも気まずかったものの、それも一瞬のことだった。
……だけど
「___で、そうだろ?……おい、陽?陽?」
「えっ、あっ、えっと……何?」
肩を揺さぶられて初めて気づき
笑って誤魔化してみる。
だが、そんなこと意味もなく。
「おばか」と言って肘でどつかれ
「阿呆」と言って頭を叩かれた。
「なんだよ、お前ら。
2人揃ってなあ……」
園田と梶木。
2人の目を見て分かる。
心配されていること。
でも俺は何事もないように虚勢をはる。
自分自身元気が無いのはわかってるし、その原因も分かっているのだが……
こんな事
さすがに2人にも話せないなぁ
