
願わくば、いつまでもこのままで
第5章 市民プール
「…神崎、さん……」
え……?
振り返ると
園田さんは俯いて
繋がれた私達の手を見ていた。
気のせい、かな?
2人の男子に追いつきそう、ということもあって私はまた前を向こうとした。
だがその前に
さっきよりも、はっきりと大きく聴こえた。
「神崎さん」
「えっ、園田さん?」
つい歩みを止め振り向いた。
「なに?」
「…………」
また口を閉ざした園田さんに、ついため息が出た。
さっきまでずっと威張っていた園田さんが、今じゃその勢いを完全に失っている。
やっぱり私が強く言い過ぎたからかな?
大人気なかっただろうか。
私3人より5つも歳上なんだよね……はぁ
「……手」
「え?」
園田さんはいつのまにか私を見ていた。
なんだか、やっと普通の目で見てくれた気がする。
「手、離してくれない?
もう泉たちに追いついたから」
「あ、ごめんなさい」
「……」
「……」
「神崎さんって……」
「?」
言葉の続きを待ったのに、園田さんはなかなか言わない。
そのうちに、先にプールで遊んでいる2人が私達を呼んだ。
それで仕方なく私も彼女もプールの中に入った。
それからは園田さんと話すことはなく、
少しだけ言葉の続きが気になった。
ウォータースライダーに乗ったり
流れるプール、波のプール
50mプールで速さを競ったり
いっぱいいっぱい遊んで
くたくたになって
気づけば夕焼けで空が赤く染まっていた。
