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性教育学校

第43章 夏休み


翌日ーーー。







「う~…寂しいよぉ…」

「莉乃が泣いてどーすんだよ」



莉乃と裕希くんと3人で
渓人の見送りに来ていた



「渓人ー……」

「…お前はほんとに馬鹿みたいに明るくて
前向きで、いつも助けられてたよ。
俺が戻ってきても、そのままの莉乃で
いてくれよな。」


渓人は莉乃の頭を撫でていた
莉乃は子供みたいに泣いてた


あたしの知らない二人の
家族の絆があった
本当の家族のように見えた




「…頑張って来いよ」

裕希くんはいつも元気で
渓人とも仲良くて…

だから
渓人が行っちゃうのは
やっぱり寂しいんだと思う


「おう。お前も頑張れよ」


裕希くんと渓人は
それ以上なにも言わなかった


(くすっ、お互い寂しいんだろーなぁ)



「なに笑ってんの」

「え、な、なんでもない//」

「…お前絶対泣くと思ってた」

「見送るときは
絶対笑顔でって決めてたの!
それに、もうたくさん泣いたしっ」


泣いて見送られるより
笑顔で見送られるほうが
いいに決まってる

ほんとは泣きたい気分だけどねっ



『○○行きが発車致します。
お乗りのかたは…………』



「あ…、もう行かなきゃだね…」

やばい…
涙が出そう…
悲しさが溢れてきた



「は、早く行かなきゃ……っ」


渓人はあたしを抱き寄せた
あたしの目からは
涙が流れた


渓人もあたしも
何も言わなかった

いや、なにも言えなかった

言葉にしなくても
お互いの思いが伝わる


だから言わなくてもいいんだ…

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