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息子への想い…

のぶ。のサバイバル系ミニ小説3rd【第10話】


所長との話が終わった後、事務所を通して彼の母親とも会えることになった。



その後日…



オレは、彼の母親の元を訪ねた。

彼の母親にとって、この2年半は事務所の関係者たちと同じく、空白そのもの…


まずは、事務所の所長にも話したように、自分が体験したことを、一通りの流れで話してから彼の手帳を渡し、化け物の存在と、特殊部隊が全滅したことと、彼も殺られしまった事を話した。


彼が殺らる数日前に書いたと見られる日記に目を通した瞬間、彼の母親は泣き崩れた…

しばらく間が空いてから落ち着き、オレは厳しかった父親からのスパルタ教育の話を、聞くことができた。

彼がまだ物心も付いてなかったとき、それはそれは我が子ながらに、溺愛していた。
しかし、父親は特殊部隊という、常に死と隣り合わせな仕事をしていて、自分がいつ死んでもおかしくないのと、また息子である彼には、カワイイからこそどんな状況に陥っても、生き続けて欲しい…

そんな想いが、何よりも強かった。

それには、幼いうちから多くのことを、叩き込む必要があった。

迷いがあったものの、やはり生き続けていくためには、嫌われる覚悟を決めた上での、スパルタ教育を選んだ。

息子である彼に何も話さなかったが、母親には全てを打ち明けていた。

誰よりも辛かったのは父親であり、息子に涙を見せまいと必死でありながら、厳しく育て上げた。

でもどうしても、涙を堪えきれない…

そんな状況も多かったが、そのときは息子に背中を向けて、厳しく語り続けた。


そんな厳しい話を聞いた後、母親から彼の物心が付く前の写真と、動画を見せてくれた。

こんな子供にスパルタ教育…

オレも、思わず涙が堪えきれなくなり、父親である隊長にとって、重大な覚悟を決めたんだなとも。
でもこればかりは、本人にしか分からない究極の辛さでもあった…


そんな父親ではあったが、彼が殺られ数日前に書いたと見られる日記で、憎しみから感謝へ…母親がこの文に目を通したとき、これでやっと息子にも想いが伝わったと、泣き崩れたのであった。
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